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円高の阻止、その有無

<長編ですが、読み通しておく価値あり>




 海外のメディアや投資家の中には、日本の改革が停滞・後退しているという批判が
あるようです。

改革、改革とまるで呪文のように唱えられていたころもありました。

さまざまな分野での日本の改革の停滞・後退ですが。どのような要因によるものなのでしょうか。


そして、どの程度深刻なのでしょうか。

 円高が進んでいるようです。現在の円高を阻止する金融・経済政策というのは、実際のところ、存在するのでしょうか。




 最近、ドルの下落が顕著になっており、対円の為替レートも1ドル=100円を割
り込む水準になっています。対ドルのレートを見る限り、確かに、円高が進んでいる
ように見えます。ただ、ユーロなど他の通貨と比べると、まだ相対的に円はそれほど
強くはありません。円の実力を示す実効為替レート(各国の物価変動率を加味し、輸
出金額によって加重平均して算出する指数)を見ても、現在の水準は、ほぼ80年代
後半のレベルです。

 過去数年間、ドルと円は、世界の2弱通貨といわれてきましたが、昨年のサブプラ
イム問題の顕在化をきっかけにドルの下落が進んでいます。そのため、為替市場でド
ルが売られ易く、短期間に、かなり円高傾向が進展しているように感じるのだと思い
ます。ということは、現在の為替市場の動きは、円高というよりも、むしろドル安と
いう色彩が強いと思います。

 ドル安・円高に歯止めを掛ける方法は、いくつか考えられると思います。先ず、最
も手っ取り早いのは、為替市場に介入することです。為替介入とは、国が多額のドル
買い・円売りを行うことによって、人為的に為替市場の動向を変えることです。今
回、わが国は為替介入を実施していませんが、以前はかなり大規模な為替介入を実施
した経験があります。

 ただ、介入についても、わが国の単独介入では効果が限定的になる可能性が高いで
しょう。過去の例でも、わが国単独ではマーケットに与えるインパクトは小さかった
と思います。一方、世界の主要国が協調体制を作って介入する場合には、かなり大き
な効果が期待できます。過去、1995年夏に行われた協調介入では、ドル安の方向
性が大きく変化したことを記憶しています。

 それ以外の為替市場に影響を与える政策を、わが国が行う政策と、ドル安の大元で
ある米国が行う政策に分けます。現在のドル安傾向に歯止めを掛ける政策とすれば、
むしろ大元である米国サイドの政策の方が有効です。先ず、金融市場の信用収縮拡大
の懸念を沈静化することが最もプライオリティーが高いと思います。2月末に掛け
て、米国の金融市場ではCMBS(商業不動産担保債券)や地方債の価格が大きく下
落しました。それに伴い、大手のヘッジファンドの破綻が取り沙汰されています。

 実際、3月に入って、欧米の大手ファンドがデフォルトを宣言されているようで
す。そうした動きが、今後も発生することが懸念材料となって、欧米の金融市場はか
なり不安定な状況になっています。それは、ファンドだけではなく、そこに資金を貸
し付けている金融機関の財務内容にもマイナスの影響を与えることになります。バブ
ル崩壊後のわが国のように、大手の金融機関の経営状況についても、様々な観測や噂
が流れているようです。

 米国の政策当局は、そうした不安を解消させることが最も重要です。現在、FRB
は、積極的に金利を引き下げ、潤沢な資金を供給していますが、これらはいずれも対
症療法だと思えます。現在のように信用収縮が進んでしまうと、金融政策の有効性は
かなり限定されることになるでしょう。私は、個人的に、最終段階では大規模な公的
資金の導入によって、事態の打開を図ることになる可能性が高いと考えます。

 実際、既に、FRBは、全米第5位の証券会社であるベアースターンズ向けに、資
金繰り支援のために資金供給するスキームを実行しています。今後、他にもこうした
スキームが利用されることがあると思いますし、いずれどこかの段階で、大規模な救
済策が打ち出されることになると予想します。そうした施策が打たれる、あるいは打
たれるだろうとの期待が膨らんだ時点で、現在のドル下落には、一定の歯止めが掛か
ると思います。

 一方、わが国が実施できる政策はかなり限定的です。かつて、円高に苦しんだ時
期、政府は価格の高い航空機などを緊急輸入して、為替市場の需給の調節を行なった
ことがありましたが、過去の例から見ると、その効果は殆どなかったと記憶していま
す。あるいは、日銀がFRBに歩調を合わせて金利を下げるというオプションもある
でしょう。短期の為替レートは、主に金利差によって決まることが多いですから、わ
が国も金利を引き下げて、日米の金利差が縮小しないようにすることが考えられます。

 わが国の経済も減速が懸念されていますから、その政策には相応の現実性がありま
す。ただ、足元の為替市場の主なドライブ要因は、米国経済の減速や金融市場の信用
収縮ですから、わが国が金利を引き下げたとしても、それほど大きな効果を期待でき
ないと思います。こうして考えてみると、現在のドル安・円高に歯止めを掛ける政策
は、主に、その原因となっている米国の国内事情を変えることが最も有効な政策と考
えられます。それ以外の諸国については、協調介入などの方策はあるものの、なんと
言っても、米国の政策効果に期待する状況だと思います。




 確かに一時95円台に突入するなど円高が進行してますが、ドルはユーロに対して
最安値を更新していますので、円高は円高ですが、むしろドル安という表現の方が適
切かと思います。現状の円高・ドル安の背景はサブプライムローン問題の米金融機関
への波及拡大にあり、3月16日には資金繰りに直面したベアスターンズ証券をJP
モルガンが吸収する事態に進展しました。まだまだ、米金融機関の破綻は続くという
悲観的な見方が払拭されておらず、マーケットの混乱が続いています。

 FRBは3月11日のECBなど他の中央銀行と連携した資金供給策に続き、16
日には日曜日にもかかわらず公定歩合の緊急利下げ、また18日のFOMCでは更に
FF金利と公定歩合をそれぞれ0.75%利下げするなど、一段の金融緩和に動いて
います。特に18日の利下げ後は景気回復期待からニューヨーク株価が急騰し、つれ
てドルが100円台まで戻すなど市場も乱高下しています。

 金融政策の効果ですが、これらの施策は基本的に流動性危機対策であり、今回の危
機の本質である資本不足に答えるものではありません。マネーを潤沢に供給して資金
ショートを起こさないことは、もちろん重要ですが、それで毀損した資本が回復する
わけではないのです。

 米国は金利引下げに加えて、大型の減税などマクロ経済政策での刺激策を打ち出し
ていますが、もちろん、効果がないとは言いませんが、我が国のバブル崩壊時の経験
から言えば、マクロ刺激策は一時的効果しかありませんでした。サブプライムローン
関連での損失から生じた資本の毀損にどう対処するかが、事の本質だと思います。そ
の観点から中東など政府系ファンド(SWF)から資本を受け入れたのは正しい方向
だと思います。

 但し、それにもかかわらず、未だにマーケットの不安が一掃されない状況を考えま
すと、もう少し踏み込んだ政策が求められているのだと思います。それは米政府によ
る米金融機関への公的資金の注入でしょう。これにより米政府が不退転の決意を持っ
て問題解決に取り組むというメッセージがマーケットに伝わりますし、実際に金融機
関の資本不足が解消すれば、マネーマーケットも正常化に向かうはずです。そして、
ドルへの不安も同時に解消して、円高・ドル安も反転すると予想されます。

 円高・ドル安の震源が米国ですので、日本が金融・経済政策で円高を阻止できるか
となると、「ノー」というのが答えです。ポリシーミックスの観点では現在、金融緩
和と財政引締めの組み合わせですので、円安のポリシーミックスとなってます。日銀
が政策金利を現状の0.5%から引き下げ、かつ財政を一段と引き締めれば、円安の
ポリシーミックスが強まりますので、少しは円高阻止に寄与するかもしれませんが、
効果は限られるでしょう。

 そうすると、あとは介入という為替政策しかないのですが、20兆円もの介入を実
施した03年当時の日本経済はデフレ経済の真っ只中であり、円高が進行すれば日本
経済のデフレは更に進展しかねない危機的な状況でした。よって、米国も日本の当局
の巨額介入を容認するしかなかったのですが、デフレを大方克服した現在、円高を阻
止する徹底した巨額の介入が各国の理解を得られるかというと疑問です。

 もちろん、米国もドルが暴落するような事態に進展すれば、それを阻止するため
の、G7協調介入は容認するでしょうが、日本が独自の理由で円高を止める為の巨額
介入を行なうことには難色を示すでしょう。よって、介入も前回のような円高阻止の
切り札にはならないと思います。こうみてくると、やはり米国が自らのサブプライム
問題の後始末をつけるという意味で公的資金注入にでも踏み切らなければ、円高・ド
ル安を阻止するのはなかなか難しいと言わざるを得ません。





 現実的な手段としては、ほぼないと思います。円高を阻止するためには、円建ての
資産をドル建てに替える動機を作ればよいので、まずは利下げをすることが基本です
が、もうすでに利率は低くて、下げる余地がほとんどありません。通貨取引量が急増
したため、介入の効果も単独では危うく、効果を挙げるためには各国の通貨当局によ
る協調介入しかないでしょうが、ドル買いへの意思統一が図れるかどうかは疑問で
す。長期的には財政を緩和することも効果がありますが、日本は既に財政は危機的な
状況なので、大幅な財政支出拡大はできないと思います。

 そもそも現状が円高なのか疑問もあります。以前1ドル=100円を切ったのは1
995年のことですが、そのころと現在の物価を消費者物価指数で比べると、アメリ
カでは37~38%物価が上昇しているのに対し、日本の物価は、現在少しずつ上が
りつつあるものの、長年のデフレで、まだ当時と同じ水準に留まっています。つま
り、現在の1ドル=100円は、物価水準を考慮すると、1995年ごろの1ドル=
137円に相当することになります(もっとも、企業などにとって為替は経済のほか
の指数と同様、そのときどきの上下の動きと幅が重要であり、1ドル=137円とい
う数字自体にそれほどの意味はないのですが)。円が2000年以来対ユーロで50
%以上も下がっていることを見ても、円の評価が国際的に下がってきていることは明
らかで、現状を「円高」という言葉で表現するのにはためらいを感じます。

 現状はやはり「円高」ではなく、「ドル安」と表現すべきでしょう。直接的にはサ
ブプライムローン問題に端を発するアメリカの景気後退への恐れを反映したものです
が、ブッシュ政権下の財政赤字・経常赤字の拡大と、対照的なユーロ経済圏、BRI
Cs、産油国などの経済の順調な拡大もあって、最近ではドルの基軸通貨としての地
位が揺るぎ始めているという議論が活発になっています。

 基軸通貨とは国際貿易の決済通貨であり、各国の外貨準備となるほか、富を蓄積す
る手段としても使われます。ですから、流通性が高い(すぐに、誰にでも受け取って
もらえ、どのような通貨や物資とも交換できる)こと、様々な取引・運用手段が発達
していることに加え、価値が安定していることも重要です。そのために最大の経済規
模を持つ国の通貨が基軸通貨になるわけで、あまり価値が下落していくようだと、基
軸通貨としての地位は当然揺らいでいきます。

 ただ、基軸通貨としてのドルの没落と他の通貨との交替は、あくまで長期的な話で
す。ドルの前は大英帝国の通貨ポンドが基軸通貨でしたが、第一次大戦後にはすでに
世界経済の中心はアメリカに移っていました。しかし、ポンドが基軸通貨としての地
位を完全にドルに譲るのは第二次大戦後のことで、約30年かかっています。その
きっかけになったのは、イギリスが第二次大戦をアメリカからの巨額の援助によって
戦ったことです。イギリスは援助の見返りとして戦後、大英帝国を基盤としたブロッ
ク経済圏を解体し、ドルを基軸とした自由貿易体制への移行に同意せざるを得ません
でした。

 基軸通貨はまさに世界経済の基盤です。以前アメリカに留学していたとき、金融の
授業で、米国債は「リスクのない資産」(risk-free asset)であると定義している
のを聞いて驚いたことがあります。つまり、必ず定められた利息を伴って返済される
ものと定義されているわけです。ファイナンスの数式の中にリスクを入れる項がある
と、米国債の場合にはそこに0を代入します。

 現実には世の中にはリスクのない資産など存在しません。米国債であろうと、返済
されない可能性は必ずありますが、だからといって米国債が「リスクのない資産」だ
という定義が愚かだとか、非現実的だとかいうことではありません。この定義が表し
ているのは、「米国債は必ず返済される」という仮定を基盤にして、その上に経済の
秩序が組み立てられているということです。その仮定が満たされない時は、そもそも
現行の経済秩序自体が変わる、つまり経済活動の土俵が変わる時なのです。だから、
ファイナンスの数式に米国債が返済されない可能性を織り込む必要はありません。
ファイナンスを含む通常の経済活動は、現行の秩序の上に成り立つものなのですから。
 
 基軸通貨はこのように経済秩序の基盤・底としての働きを持っているので、逆に、
経済だけで決まるものではありません。例えばドルが基軸通貨であることと、世界最
強の米軍の存在は切っても切り離せません。いざという時は現行の政治・経済秩序を
武力によって守るという保証になっているからです。今から20年前に、ある東洋の
島国が次の時代の覇権国であるとの議論が盛んになされたことがありますが、もしそ
の国が当時と同じ勢いで経済発展を続けていたとしても、その通貨が基軸通貨になる
日は永遠に来なかったと思われます。
 
 ドルの基軸通貨としての地位が揺らぐかどうかは、結局のところ、ある程度長期に
わたって政治・経済の動きを見ていかなければ判断できそうにありません。五年や十
年でどうにかなるような話ではなく、次の大統領の政策、特に財政政策いかんによっ
ても大きく違ってきます。ただ、数十年という長期のシナリオとしては、基軸通貨の
交替は十分ありうることだと思います。その時は、21世紀初頭のこの時期が、大き
なポイントの一つだったと言われることになるでしょう。





 アメリカは、サブプライム問題を原因とした金融危機に対処するために、緊急避難
的に利下げと徹底した流動性の供給を続けて、金融機関の連鎖的な崩壊を防ごうとし
ています。アメリカの金融当局が現在続けているのは、流動性の連鎖的な縮小を防ぐ
ための危機管理で、それに伴って起こるドル安はもちろん望むところではないでしょ
うが構ってはいられない状況です。世界中が、FRBの行う危機管理の成否を固唾を
呑んで見守っている状況です。

 アメリカの政策に協力して、かつ円高を防ぐ方法として考えられるのは、日本もゼ
ロ金利に戻すことでしょう。日本の金融システムには現在流動性のリスクはありませ
んが、景気の判断は切下がって来ており、利下げの選択肢も頭ごなしに排除すべきも
のとは考えられません。 ただ、現在はデフレ期とは異なり、原材料価格等の高騰か
ら日本経済にもインフレ圧力が存在するので、政策的にそこまで踏み切るのは困難か
もしれません。

 また、別のオプションとして、為替市場に介入してドル買い円売を行うことも考え
られます。インフレの脅威にもさらされている米国にとってもまんざらでもない政策
とも思えます。

 ただ、上記の政策、特に後者は先進国が行う政策としては緊急避難的なものとも言
えるもので、当局としても採りにくいものであるのは事実です。日銀総裁の人選をめ
ぐる、与野党のみすぼらしい政策論議を聞いている限り、総裁空席という事態のな
か、これらが当面の政策として選択されることはあり得ないでしょう。民主党は総裁
任命の議論の中、ゼロ金利政策を預金者から企業への所得移転だという、実質金利を
まったく無視した論点を展開することにより、将来の利下げの選択肢を大きく牽制し
てしまいました。

 中長期的な政策の選択には、米国の現在の流動性危機が収まった段階で、アメリカ
経済がどのような状態になっているかが重要です。日本の経験からしても、家計の痛
んだバランスシートの修復は長くかかると考えるべきで、住宅バブルに支えられた堅
調な消費が、もとのペースで米国経済を牽引することを予想するのは困難です。米国
が高成長で世界経済を支え、ドル高と高金利で世界中から資本を集めるという構図は
もう望めない可能性が高いと思われます。ドルが安くなるのは、自然なことです。

 一ドル100円程度のドル安円高水準では、これまで日本経済を引っ張ってきた輸
出企業のうち、かなりの部分が短期的な減収減益に見舞われます。アメリカの景気が
さらに一年以上も後退し続け、円高が進むというリスクも排除できませんが、円高進
行が1ドル100円程度でとどまっていれば、アジア市場やヨーロッパ市場も合わせ
ればアメリカ市場以上の規模がありますから、輸出企業が壊滅するような事態は考え
る必要はありません。翌年度にはまたある程度の増収増益基調に回復することが想定
されます。それぞれの企業は、生産拠点を海外に移したり、部品の調達ルートを変え
たりして、円高のメリットを享受するための調整を行うことが出来るようになるで
しょう。 

 アメリカ発の金融危機の緊急避難的な流動性対策としては、日本も利下げと為替介
入が考えられ、市場は予測していないだけに効果もあることでしょう。ただ、日本企
業もかつてのデフレ期ほど弱ってはいませんから、一期ぐらいの円高には十二分に耐
えられます。中長期的な日本経済の産業政策として円高是正政策が必要かどうかは大
いに疑問の余地があります。





 現在は円高というより、ドルが他主要通貨に対しても下落しているという意味でド
ル安です。ドル安が止まるためには、ドル安の原因になっている米国のサブプライム
ローン問題に解決のめどが出る必要があります。18日のFOMCでの0.75%利
下げと、米国主要金融機関の業績が懸念されたほど悪くなかったことから、ドルと米
国株は大幅に戻しましたが、19日に下落するなど乱高下しています。通常の利下げ
だけでは、実態経済の悪化や金融機関の損失拡大を防ぐのに十分でないことを市場が
織り込んでいるのでしょう。米国の政府や中央銀行の対応策は、日本が90年代に
採った対策よりも素早いものですが、もっと大規模な財政出動、不良債権の金融機関
からの買い取りや公的資金の注入などの措置が必要なのかもしれません。

 これまでの世界経済を支えてきた米国の個人消費の行方が心配されていますが、減
速程度が明らかになれば、市場は安心するでしょう。住宅着工は既に大幅に落ち込ん
でいますが、今後は自動車など耐久財販売の悪化が予想されます。メリルリンチの米
国担当エコノミストは、住宅投資、個人消費、実質GDPともに2009年の第1四
半期までマイナス成長が続くと予想しています。今回の米国の景気後退は、平均10
カ月ほどの通常の景気後退ではなく、1970年代前半並みの戦後最大の不況になる
と予想しています。この場合でも約16カ月の景気後退ですので、今秋頃までに米国
経済の悪化が市場に織り込まれるでしょう。ドル反発の1番目の条件は米国経済見通
しの底入れ・改善です。

 最近注目されるのが韓国ウォンの急落です。18日に韓国の中央銀行は自国通貨買
い・ドル売り介入を行いました。日本では円売り・ドル買いの可能性が指摘されてい
る中で、全く逆の動きです。韓国経済は日本経済より好調にみえ、実業界出身の李明
博大統領の誕生で政策への期待も高まっていましたが、急激に進展したウォン高が韓
国経済へ与える悪影響が懸念されて、ウォンは自然に下落しました。円も90円を超
えて急騰すれば、実態経済への懸念が強まり、自然に円安へ向かうかもしれません。
メリルリンチが世界の機関投資家を対象にアンケート調査したファンドマネージャー
調査の3月号によると、ファンダメンタルズに比べて通貨が過大評価されているかの
判断は、ドルが2月-35%→4-41%月、円が-38%→-18%と、最近の円
急騰により円が過小評価との見方が急減しました。円はユーロなどに比べて上昇率が
小さいため、さらに円高が進展するとの見方が多いですが、その程度が今後は緩やか
になると解釈されます。為替は自由市場で決まりますので、日本への善意で円買いを
止めるトレーダーはいないでしょうが、日本経済が耐えられないほどの円高にはなら
ないという予想が形成されてくるでしょう。ファンドマネージャー調査で、日本経済
の今後1年間の見通しは既に過去最悪になっています。

 1971年のニクソンショックによる米ドルと金の交換停止以降、何度か米ドル暴
落論が語られましたが、ドル暴落は回避されてきました。今度こそ本当のドル暴落な
のか注目されます。70年台後半には協調介入、カーターボンド発行、金融引き締め
のドル防衛策が採られました。80年代半ばのドル危機は、プラザ合意の政策協調、
米国の財政赤字と貿易赤字の削減で回避されました。90年代にはルービン元財務長
官が強いドル政策を繰り返すことで、世界から資本を惹きつけました。しかし、今回
のサブプライムローン問題で海外からの民間資本が米国に入りにくくなり、政府系
ファンドもドル離れするようになりました。米国の経済パワーの低下と、中国を中心
とする新興国の経済力の勃興を鑑みると、ドルの長期下落は避けられないのかもしれ
ませんが、ドル暴落は全ての国にとって望ましくないので、秩序ある下落が管理され
るでしょう。






 円高を止めるだけで良いのなら、日銀が無尽蔵に円を売り、外貨建て資産を買うと
宣言すれば、円高を阻止することは可能でしょう。その際に、現在ならば、米国の
ファニーメイやフレディマックといったモーゲージ証券も購入対象になると言えば、
より効果が大きいでしょう。そもそも、為替相場の場合、固定相場時代もあったわけ
ですから、円高や円安を止めることは可能です。

 ただ、国際金融のトリレンマとして知られているように、「固定相場制」、「独立
した金融政策」、「自由な資本移動」の3つの政策を同時に実現することができませ
ん。仮に、固定相場を実現するなら、(1)資本移動を自由にする一方、独立した金
融政策を放棄する、あるいは、(2)資金の移動を規制し、独立した金融政策ととも
に固定相場制を採用する、といったように、何らかの犠牲を払う必要があるでしょ
う。ニクソン・ショック時の日本は、円切り上げ期待を背景にした円買いを円売り介
入で吸収した結果、過剰流動性をもたらし「狂乱物価」という代償を払うことになり
ました。

 現在、中国はチベットの騒乱で揺れておりますが、その遠因には物価上昇があるの
かもしれません。3月22日の日本経済新聞は、中国人民銀行が実施したアンケート
調査で、「物価が高すぎる。受け入れがたい」と答えた人が49.2%と過去最高に
なったことを紹介するとともに、「チベット騒乱の勃発で社会不安の芽がもたげてい
るだけに、中国政府にとってインフレ抑制は一段と重い課題になりそうだ」と書いて
おりました。因果関係としては、物価高がチベット騒乱の一因という解釈もありで
しょう。たしか、北朝鮮では2003年頃、「経済改革」の名のもとに物価が急騰
し、これも脱北者急増の一因になったのではなかったかと思います。

 話を、現在の円高に戻します。グリーンスパン元FRB議長がいみじくも言ってい
るように、為替相場の予測はコイントスのようなものです。古今東西、為替相場の変
動を上手く説明するモデルを見たこともないとも彼は言っております。おそらくその
通りでしょう。そうなると、現在の円高の理由も、実は分かっているようで分からな
いわけで、原因のはっきりしないものに対し処方箋を書くことすら困難でしょう。

 ちなみに、ここ数ヶ月、ドル円相場と日本株の相関は極めて高いのですが、変動相
場制移行後の両者の相関係数はほぼゼロです。円高・株安という組み合わせもあれ
ば、円高・株高も同じようにあったということです。したがって、「現在の円高」と
株安の組み合わせは、達観すれば一時的な現象で、次のような相場観の結果なので
しょう。「米国を中心とした信用市場の安定がなければ実体経済も悪化する。信用市
場の悪化を止めるには公的資金の投入など抜本的な解決策が必要だ。抜本的な対策が
とられる可能性は低く、FRBにしわ寄せが行く。FRBにしわ寄せが行く結果、ド
ルは下がる。金融市場が安定しないので株も買えない」。要するに、ドル安と株安は
信用市場混乱の二つの結果であり、両者には相関があるということです。

 問題は、「相場」を止めるのに、抜本策は必要かということです。「日本の経験」
を参考にする限り、そうかもしれないし、そうではないかもしれません。先日、渡辺
金融担当大臣が、現在の米国の金融危機は1992年の日本に似ているという主旨の
発言をしたと報道されておりました。まだ、危機の入り口に過ぎないというニュアン
スなのでしょう。

 この1992年というのは、日本が抜本的な不良債権処理を諦めた記念すべき年で
す。1992年8月5日、当時日銀の筆頭理事であった福井さんが、大蔵省の寺村銀
行局長に銀行の不良債権は40兆円あると報告します。とても従来的な枠組みでの解
決は困難であると申し添えます。しかし、世論が熟していないとみた大蔵省は公的資
金の投入を断念し、その代わりに今後の金融行政の方針についてという紙を一枚だし
ます。8月18日のことでした。市場参加者は問題先送りであると酷評します。市場
のセンチメントはここで陰の極に達したということでしょう。こうしたなか、株式相
場は、19日に底入れし、次の1年間で約50%も上昇しました。1年程度の期間で
見ると、抜本策と株価変動には何の関係もありませんでした。

 以上、円高阻止を考えると、長期的に円高を阻止したいなら、いっそのこと固定相
場にすれば良いし、逆に短期的な意味で円高を阻止したいなら、政策よりも市場の
「人気」が極まりさえすれば勝手に止まるということになると思います。陰の極とい
う意味では、先週末のJPモルガン・チェースのベアー・スターンズの買収は、IT
バブルの最後を飾ったAOL、タイムワーナーの合併のちょうど対極にあるイベント
ではなかったかと考えております。






 円高を止めるということを第一の政策目標として、これだけを達成すればいいな
ら、円売り・ドル買いの不胎化介入を満足な円安になるまで拡張して行う方法がある
でしょう。為替市場の参加者の判断として、日本政府単独の介入では効果が乏しいと
いう印象があるようなので、外国の政府、特にアメリカの賛同を得て、協調介入を行
うことが出来れば、大いに効果が上がるでしょう。もっとも、この目的のためには、
理想的には協調介入ですが、日本政府単独の介入であっても、徹底的に行うなら、結
局は、円安は達成可能のはずです。

 但し、国際的な文脈で考えると、円安誘導の介入は難しそうに見えます。現状は円
高というよりはドル安で、円以外の多くの通貨はドルに対して市場最高値圏にあり、
ドル以外の通貨に対する相場も含む円の相場全体の水準は、過去と比較してかなりの
円安圏にあります。これ以上、人為的に円安に誘導して、特に日本企業の輸出競争力
を強める政策に対しては賛同が得られにくいでしょう。また、対米ドルに関しても、
目下の経済的懸念の中心が所謂サブプライム問題の影響が拡大しているアメリカ経済
の悪化にある以上、ドルを人為的に押し上げるというのは、理解が得られそうにあり
ません。また、為替市場への介入について、どの程度海外世論を気にするかという問
題は微妙ですが、米国に対して巨額の貿易黒字を持っている中国の為替管理に対して
不満が高まっている状況下で、日本が自国の通貨を安く誘導するために介入すると、
「中国のようだ」という非難をされかねません。

 そもそも「円高を止めたい」という目的を考えると、平たく言うと、日本の景気を
良くしたいからということでしょう。日本の景気の先行きへの懸念となる主な要因は
米国経済の悪化(懸念も含めて)でしょう。また、サブプライム問題の解決に目処を
つけて、米国経済が順調な成長軌道に戻ったと広く認識されるようになると、日本も
含めた世界の景気に好影響があるでしょうし、何よりもそのことが米ドルの回復にも
つながることになると思われます。

 直接的ではありませんが、米国のサブプライム問題を解決することが同時に円高・
ドル安の対策にもなるということです。政策的にこれが可能なら、「そうできるな
ら、望ましいことだ」と世界の賛同が得られる対策でもあるでしょう。

 しかし、サブプライム問題は、昨年夏に本格的に表面化した当初の金融機関の損失
とこれに伴う金融市場の流動性の問題から、(1)米国の不動産価格の下落が景気に
及ぼす悪影響と(2)証券化商品全般に対する疑いとリスクの見直しに伴う「証券化
バブルの崩壊」の、共に厄介な二つの方向に拡大する第二段階を迎えたように思えま
す。

 米国の不動産価格は過去数年の値上がりが大きかったカリフォルニア州、ネバダ州
などの下落が大きくなっているようですが、下落傾向は全米に及んでいるようです。
これが、いつまで、どの程度の大きさで起こり続けるのかが問題ですが、住宅の家賃
利回りから見ても、不動産価格を見る場合によく参照される住宅価格とGDPの趨勢
比較から見ても、まだしばらく(少なくとも向こう1、2年程度は)は下落が続きそ
うで、これが、特に消費の悪化を通じてアメリカの景気にマイナスの影響をもたらす
ことは避けられそうにありません。

 一方、サブプライムローンの証券化商品のリスクが顕在化したことで、同様の理由
から(要は今までのリスク評価の「モデル」の構造的欠陥です)、他の証券化商品に
ついてもリスク評価の見直しが必要だという認識が生まれており、現実に、サブプラ
イム商品ほどではないにしても、その他の証券化商品全般の価格が下落しているよう
です。目下、金融機関の資本毀損からの貸し渋りといった間接金融の縮小が懸念され
ていますが、同時に証券化という直接金融の有力なチャネルも縮小する懸念が出てき
たように思えます。

 サブプライム問題に関する現状認識は、肩の荷を下ろして気楽になったためか、福
井前日銀総裁が退任会見で的確に指摘しています。世界の現状認識について問われて
福井氏は「リスクの再評価の過程、あるいはバリューの再評価の過程が続いてい
る」、「単に価格の値札を付け替えるだけではなく、値札を付け替えたならば、減損
処理と資本手当がいる。この苦しい過程がしばらく続く」と答えています。既に昨年
初から存在が明らかだったサブプライム問題の影響を軽視して「フォワード・ルッキ
ング」を誤り、二度も政策金利を引き上げた人物とは思えない、優れた現状要約だと
思います。

 日本のバブル崩壊後の不良債権問題の連想から、アメリカ政府も公的資金を金融機
関の資本に投入するのがいいのではないか、という議論があるようです。確かに、実
現すればこれはかなりの効果があるかも知れませんが、損失額の見極めまでにもう少
し時間が掛かりそうです。また、日本の場合にも「銀行員の高給」が問題になりまし
たが、「サブプライム問題でさんざん儲けた連中を税金で助けるのか」という経済倫
理と世論の問題を解決する必要もあるでしょう。

 福井氏の言うとおり「苦しい過程がしばらく続く」のでしょうから、この間、ドル
安・円高の圧力が断続的に高まる局面があるのはやむを得ない、というのが「対策」
ではなく「予想」の問題としては現実的な感じがします。

 日銀の話が出たついでに、もう一つの手として、日本の金利誘導目標引き下げとい
う手は、世界経済への協調という文脈で可能で、同時に円高の対策にもなりそうです
が、もともと利上げを志向してきた日銀が、しかも総裁不在でこのような思い切った
サービスをするとは思えません。

 状況を敢えて前向きに考えるなら、これまで輸出を有利にしてきた円安が修正され
た現状は、内需の成長を本気で模索するいい機会ではないでしょうか。









「ねじれ国会」の政治力学の中で、結局、3月20日に戦後初めて日銀総裁が空席と
なる事態となりました。最大限の皮肉として、今考えられうる最も効果的な円高阻止
政策は日銀総裁を空席にすることだ、という(笑えない?)ジョークを私は先週来
言ったりしております。さすがに、その通貨の番人が空席であるような通貨の価値が
歯止めなくどんどん上がるわけがないですからね。(もちろん、1日も早く適切な方
が日銀総裁になられることを切に望みます)

 余談ですが、前述の日銀総裁人事に関連して、「中央銀行の独立性」が話題となり
ましたが、こと国際金融(特に外国為替)に関しては、多くの国で中央銀行ではなく
財政当局(財務省)が主たる権限を握ることとなっています。ユーロについては国家
権限を超越した通貨なので例外といえそうですが、ユーロ以前のヨーロッパ諸国も、
アメリカも、イギリスも、そして日本も、「中央銀行の独立性」に疑義を挟むことな
く財務省が国際金融に関する主導的な権限を握っています。結局、どの国でも、中央
銀行は政府と協力して政策を講じるべき立場にあるわけですから、観念的に「中央銀
行の独立性」(それが転じて最近の「財金分離」論)を押し通しても無意味で、むし
ろ「中央銀行の独立性」を制度的に担保する具体的な仕組みを考えるべきでしょう。
しかし、今般の日銀総裁人事は、政治の党派性が露骨に出る形で人事を議論したため
に、事実上「中央銀行の独立性」は侵されたものといえます。経済学の文脈で「中央
銀行の独立性」を議論する際、政治の党派性に端を発する強い要望を中央銀行に突き
つけることが問題視されます。政党の政治的選好を押し付けることが「独立性」に支
障をもたらします。まさに今般の出来事は、見えにくいものの、党派性を中央銀行に
押し付けたも同然です。財務省OBが問題というより、人選に党派性が露骨に反映さ
れたことが問題といえます。

 話を本題に戻して、国際金融理論が示唆する政策効果は、既に他の寄稿家の方々も
書かれておられますので、ここでは違った視点で、政治経済学的な視点からこの問に
答えようと思います。政策決定には、民主主義に基づく過程を経なければなりません
(前述の日銀総裁人事もそうです)。いかに経済理論から見て正しいアイディアだと
しても、それが政策として採用され、実施されるとは限りません。

 特に、目下の我が国の経済情勢を鑑みれば、1ドル=100円を超える円高になっ
ているにもかかわらず、円高を是が非でも阻止したいという強い政治的要求は今のと
ころまだ強くありません。これには、我が国で、戦後経済史上かつてないほど輸入を
多くする経済になったのは、最近のことであることもこの背景にはあると考えられま
す。

 輸入額(93SNAベース)を対GDP比(実質額で比を取る)で見ると、プラザ
合意前の1980年代前半は5%台、その後円高となり1990年ごろには7%と
なったものの1990年代前半はほぼ変わらず、1995年の史上最高値を記録する
円高の後8%台に上昇しました。その後、2000年頃に9%台に乗り、それが10
%を下回らなくなるのが2004年で、2006年にはついに11%に達し今日に
至っています。これほど輸入を多くする経済になったのは、つい最近のことなのです。

 当然、輸入に多く依存する経済であればあるほど、国民は円高をより好意的に捉え
ます。現に、この円高で原材料費の高騰が(若干なりとも)緩和されているわけです。

 確かに、理論的には、有効な円高対策を考えられなくはないですが、それを実施す
ることが国民のためになるか、さらには国際経済の中で望ましい資源配分に導くこと
になるか、必ずしも自明ではありません。そう考えれば、かつてないほどに輸入に依
存する経済の下で、政治的に見てもこれまでになく円高対策をより欲しなくなってい
る状況ですから、政府・日銀が本腰を入れた円高対策を講じることになるかは微妙だ
と思います。









 現在の円高については、実体的にはドル安としての側面が強く、背景には言うまで
もなく米国のサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融市場の混乱が指摘さ
れます。

 特に、年初来の米ドル下落、世界的な株価下落、信用リスク・プレミアムの拡大、
といった一段の金融市場の動揺拡大を受けて、米国の政府および金融当局による抜本
的な対策を求める声が強まっています。具体的には、懸念される信用収縮のリスクを
回避するためにはサブプライムローン問題に関連して損失を計上した金融機関の資本
増強が急務となっていますが、各金融機関の自助努力を前提とする米国政府に対し
て、何らかの形で公的資金の導入が必要とする意見も市場関係者の間などで見られま
す。

 ただし、米国金融機関の資本増強に公的資金が直接導入される可能性は実際にはか
なり低いのではないかと考えています。その理由としては、当然ながら金融機関を特
例扱いとする民間企業活動への公的支援に対しては政治的な合意形成に時間がかかる
こと、かつ、大統領選挙を控え積極的な意思決定が行える時期ではないこと、が挙げ
られます。さらに、米国の主要金融機関における海外事業の比重が高いことから、公
的資金の導入が米国金融機関の海外での事業活動の支障になるとの懸念も指摘できる
ためです。

 米国の金融機関はこれまでの経済のグローバル化と世界各地域での金融自由化によ
る利益を最大に享受してきた立場にあるだけに、政府からの公的支援を受けることは
自由競争の原理に反するとして各地域での活動に対する現地での規制などの反発を招
く可能性もあります。産油国やアジアの政府系ファンドにとっても出資者の立場とし
ての事情は同様であり、出資比率の拡大については金融機関の海外ビジネスへの影響
を考慮して慎重とならざるを得ない面があります。このように、日本での金融機関へ
の公的資金注入、あるいは今回のサブプライムローン問題に関連した英国中堅金融機
関の一時国有化など、実質的に国内に事業活動が限定される金融機関への公的支援の
事例とは大きく異なる事情が指摘できます。

 一時期、サブプライムローン関連証券などに信用保証を提供していたモノラインに
対する救済策への市場の期待が高まっていましたが、金融機関への公的支援のための
迂回スキームとしての期待感もかなり含まれていたのではないかと推測します。実
際、証券化商品に投資する機関投資家などプロの投資家にとっては、モノラインによ
る信用補完はあくまでも損失の可能性が限定された債務に対する金融保証を前提に成
り立つものと認識されており、むしろ証券化商品に特有のサービサーによる担保ロー
ンからの利息金の徴収などの回収業務を監視する役務への対価として保証料が支払わ
れていた側面もあります。従って、モノラインを公的資金によって救済した上で信用
保証を履行させることは、投資家に対する実質的な損失補填であり、公的資金を無償
で提供することにも等しく、かなり無理のあるスキームであったと言えます。

 そのため、仮に政府主導でかつ公的資金を活用する形で金融機関の資本増強を図る
場合には、こうした問題を回避する適切なスキームを用意する必要があるでしょう。
これは全くの私見ですが、例えば、金融機関に資本を出資するためのファンドを組成
し、ファンドから出資を受ける各金融機関が共同でファンドへ出資し、実質的な劣後
部分を負担するという形態も考えられます。ファンドは各金融機関による出資分と併
せ、実質的な優先部分となる債券を発行して資金を調達し、各金融機関が発行する劣
後債などに投資する形をとり資本を提供することになります。

 ここで米国政府が、ファンドが発行する債券の信用保証を提供する、あるいは、
ファンドの劣後債ないし優先株などのメザニンに公的資金を出資することで債券の信
用補完を提供する、といった形で関与が可能であれば、海外政府の外貨準備を含めて
効果的に投資資金を集められる可能性があります。また、各金融機関には実際に劣後
債の一部を市場で募集・発行させ、それぞれの信用力に応じた発行条件を明確にした
上でファンドが出資する方式とすれば、各金融機関の実際の資本の必要度に応じてコ
ストを配分することも可能でしょう。

 このようにスキーム自体は単純でも、実際の条件設定や取引過程のトランザクショ
ンはかなり複雑になりますので、実現性については全く想像がつきません(個人的に
は投資銀行業務は経験がありませんので)。しかし少なくとも、既存の金融商品のス
キームを適用することで、市場原理に一定の配慮をしながら、公的支援を実施する余
地はあるのではないかと考えます。

 円高などの為替市場の変動による問題に対処するためには、長期的には、日本の通
貨政策のあり方、あるいはアジア地域について地域共通通貨バスケットを設定して各
国の通貨政策の整合を図るなどの構想も議論の余地はあると考えます。ただし、現状
では、為替市場の変動拡大の背景にある金融システムの安定回復が優先事項なのでは
ないでしょうか。









 今回の為替市場の動きは、円高というよりは、ドル安といえます。もちろん、昨年
までユーロ、カナダ・ドル、オーストラリア・ドルなど他国通貨に対しても弱かった
円は、今回他国通貨に対しても若干円高気味になっていますが、それでも以前の高値
水準から比べると、まだまだ円安にあるといえましょう。今回は、アメリカのサブプ
ライムローン問題を契機に、アメリカの金融市場が混乱し、また景気の悪化が予想さ
れて、株式が大きく下落し、一方これに対処するためにFRBが矢継ぎ早の大幅な利
下げと大量資金供給を実施してきたために、ドル資産離れが起きて、ドルの全面安の
様相を呈しているといわれます。

 そうした点を踏まえて、日本政府、日銀が本気で現在の円高を阻止したいと思って
採れる積極的な金融・経済政策は、金利引き下げによる金融緩和政策と円売り・ドル
買いの為替介入ぐらいしかありません。しかしながら、結論から言うと、日本政府、
日銀が採れる効果的な金融・経済政策はあまりなく、現状では一時95円台まで急伸
した円高に打つ手はないといえましょう。

 まず金融緩和政策ですが、今の段階で日銀が行えるのは現行の0.5%の政策金利
を再びゼロ金利に戻すことぐらいです。先日の0.75%の大幅な利下げによりアメ
リカのFFレート水準は2.25%と実質ゼロ金利になりましたが、今後の事情によ
り更なる利下げもありうることを考えれば、日米名目金利差は一段と縮小し、逆転し
た実質金利差は拡大することになります。それでは、金利引き下げ効果もあまりない
といえましょう。

 また、金利引き下げに加えて、過去行ってきた、ジャブジャブに資金を市場に供給
する量的緩和政策も考えられます。しかし、それは国内経済がデフレ状況になって景
気が悪化し、それを浮揚とすることを必要としている場合であって、今の日本経済
は、景気が悪化しているわけでもなく、またガソリンや電気、ガスなどのほか、食品
や生活用品などの値上げでデフレを心配する状況でもありません。また、アメリカが
大幅な利下げに加えて、金融システム不安を緩和しようと大量資金を供給しているの
は理解できます。一方、ヨーロッパのECBも、金融機関が相次いで大きな損失を出
したため金融市場が委縮しないように同じように大量資金供給していますが、依然景
気が堅調で物価が下がらない中では利下げまで踏み込んでいません。そうした点で、
先進国の協調利下げには機が熟していませんし、ましてや日本は金融機関の大きな損
失を出して金融システム不安があるわけでもありませんので、資金を市場に大量供給
する必要もありません。

 次に、為替介入ですが、95年や03~04年の為替介入における円全面高の時と
は違い、今回はドルの全面安であり、しかも当時と比べても為替市場の規模ははるか
に大きなものとなっていて(1日の取引高で07年は推定で95年比2.7倍、04
年比1.7倍)、03~04年の時のように介入して効果を発揮できることはもはや
困難になっています。それでも為替介入を行うとなれば、世界の為替資金と相当激し
い売買格闘となる覚悟をしなければなりませんし、前回の03~04年にかけての単
独介入資金として35兆円を使いましたが、今回はその倍の70兆円近い介入資金に
なるかもしれず、その大量の為替介入資金を市場から調達しなければなりません。そ
れが果たして可能なのかという疑問があります。
 
 また、95年の80円割れの急激な円高に対して、ドル全面安からアメリカの景気
・物価などへの悪影響を懸念して日米が協調して為替介入したこと(同時にドルはド
イツマルクに対しても下落していましたから欧米の協調介入が実施されました)や、
03~04年の円高局面では、日本の単独介入でしたが、日本のデフレが深刻化して
世界経済に悪影響になることを恐れてアメリカが日本の為替介入を容認したという経
緯があります。(そういった面から、為替介入は正当な理由が世界的に共有化され、
協調するなり容認するなりで市場へ強いメッセージを伝えることで効果を発揮できる
ものといえます。)しかし、04年以降為替介入は市場をいびつにするということで
欧米では原則反対の姿勢をとっていますので、現状では協調介入はもちろん日本の単
独為替介入もしにくいといえます。

 ましてや、今回、アメリカはドル安により輸出が伸びて景気にプラスと踏んでいる
ところがあって、ドル安を容認している面があります。その点で、アメリカはむしろ
為替介入は認めがたい状況にあるといえます。また、ヨーロッパにとってもユーロ高
は物価にはプラスであり、また景気への悪影響も目立って出ているわけではありませ
んので、ユーロ高を歓迎しているともいえます。そうした状況では、日本だけが円高
だから介入したいといっても、欧米は、介入する理由がないとして反対するでしょう
し、もし日本が単独介入しても、協調も理解もなければ、投機資金の餌食になるかも
しれません。

 一方、国内事情からみても、円高が一概に悪いとは言えない状況になっています。
今、原油・ガス・石炭などのエネルギー価格や農産物価格、鉄鉱石や非鉄金属などの
鉱物価格が大幅に上昇しているため、国内の素材から部品、製品・商品に至るまです
べてにおいて価格が上昇する傾向が見られます。一方で、こうした原材料による物価
上昇傾向を緩和するのは、円高といえます。つまり、国民生活から言って、円高は物
価抑制に働きますから、プラスといえます。とはいっても、円高は、輸出依存型経済
をとる日本にとって、輸出企業の業績悪化を通じて景気にマイナスですから、どこま
で許容されるかですが、急いで為替介入で円高を食い止めなければならない状況では
ないともいえましょう。こうした内外の理由を考えると、為替介入を容認できる段階
にはまだ至っていないといえましょう。

 こうしてみてくると、やはり円高阻止に対して日本による金融・経済政策は難しい
といえ、またそれを行う根拠も乏しいといえます。ここは、根本的には、ドルの全面
安という状況を招いているサブプライムローン問題から始ったアメリカ自身の諸問題
の解決が必要であり、そうすることでドルの全面安も修正されるのではないかと思い
ます。そのためには、FRBの金融緩和政策や市場への大量の資金供給による対処療
法的手法では一時的な解決にしかならないので、日本の不良債権問題と同様公的資金
の注入が今後求められると思われます。そうして、公的資金による抜本的な処理に国
が本格的に乗り出すという姿勢を見せれば、為替も株式も金利も落ち着きを取り戻
し、自ずと円高も収束していくのではないかと見ています。

 それまでは、まだ一段の円高を覚悟しなければならないかもしれません。しかしな
がら、経済のグローバル化で急激な構造変化が起き、世界経済が大きく変質していく
なかで、予算関連法案、その他法案や案件で対立して合意できず、日銀総裁も決めら
れない一方、経済構造でも依然として輸出主導型から脱皮できず、また少子高齢化、
農業や医療、教育そのほか多くの分野で日本の将来ヴィジョンを示せないで政治が停
滞している状況では、世界の日本を見る目は厳しいと予想されます。その結果、円高
が収まった後に反転して本格的な日本売りとして急激な円安が起きるかもしれませ
ん。むしろそちらのほうがもっと深刻な状況といえ、円高で騒ぐよりも円安に備えた
ほうがこれからはいいのではないでしょうか。

 最後に、今回のアメリカのサブプライムローン問題から発生した世界的な金融・為
替・株式市場の混乱は、規制を緩和して行われた金融の自由化のもと資本が世界中に
自由に移動できるようになって、経済のグローバル化を実現した結果、起きるべきし
て起きた問題と言えるかもしれません。個人的には、パンドラの箱を開けてしまい、
これまで規制などによりそれぞれの中で閉じ込められてきた資本が、世界的な規制の
緩和・撤廃を通じてもっとも稼げる国や市場へ自由に移動できることになって、もは
や一国では対処できないくらい強大化し、国をも翻弄し始めたと見ています。そし
て、それは、アメリカも例外ではありません。

 つまり、90年代からの経済のグローバル化の進展で世界各国が資本の取り込みを
通じて自国の経済発展につなげようとして、まず新興国が登場し、それが世界中に広
がりました。その結果、当初資本がアメリカを経由して世界に流れ、その巨大な金融
資本が経済のグローバル化を通じてアメリカに利益をもたらしましたが、それが世界
の経済を刺激し、利益を各国にもたらし始め、一方資本が次第にアメリカに戻らず、
より優位な国や市場に流れたまま留まるようになって、アメリカの経済力を相対化す
ることになったのではと思います。そうしたことが、アメリカでの資本の流れを変
え、バブル化した不動産価格を直撃し、アメリカの弱い部分である低所得者層へのサ
ブプライムローンに集中したといえます。そして、今後アメリカ経済が悪化するので
はと懸念して、資本がアメリカから逃避し、ドル離れを引き起こしているのではない
かと思います。こうした見方が正しいのであれば、アメリカは、かつての巨大な経済
力を簡単には回復できず、ドルは以前の水準には戻れないかもしれません。その意味
で、日本はドル中心から脱皮する必要があるのではないでしょうか。




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