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日銀レポート

日銀は30日、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表し、「現在のように不確実性が極めて高い状況のもとで、先行きの金融政策運営についてあらかじめ特定の方向性を持つことは適当ではない」とした。

 その上で「経済・物価の見通しとそのがい然性、上下両方向のリスク要因を丹念に点検しながら、それらに応じて機動的に金融政策運営を行っていく」との方針を示した。

 10月時点では金融政策運営について「金利水準は引き上げていく方向にある」、「引き上げのペースについては、予断を持つことなく、経済・物価情勢の改善の度合いに応じて決定する」としていたが、この基本方針を転換した。

 白川方明総裁は記者会見で、この点について「前回までの展望リポートでは、それまでの経済・物価見通しを前提として、方向として金利の水準調整をしていくという大きな方向感があったが、今回は足もと経済が下振れしている。それ以上にリスク要因が大きくなっているので、そうであれば金融政策のスタンスを分かりやすく説明していくという観点から、『機動的に』という表現が一番よいと判断した」と説明した。

 <08年度は下振れリスク大きい> 

 展望リポートでは、2008年度から2009年度にかけて「おおむね潜在成長率並みの緩やかな成長を続ける可能性が高い」との見解を示したが、同時に「海外経済や国際金融資本市場をめぐる不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響など景気の下振れリスクに最も注意する必要がある」と警戒感も示した。

 展望リポートでは、上下両方向のリスクについてそれぞれ分析しているが、白川総裁は「2008年度を展望したときに、景気の上振れと下振れのどちらの重点を置いているかというと、これは下振れの方に力点を置いている」と説明。実際、今回初めて公表した「リスク・バランス・チャート」(各政策委員が見通しが上振れまたは下振れる可能性について想定した確率分布を集計したもの)では、2008年度実質GDPの見通しの分布が下方向に偏っており、委員は上方リスクに比べて下方リスクが高いと考えている姿が浮き彫りになっている。

 <生産・所得・支出の好循環メカニズムは削除>

 10月展望リポートでは「生産・所得・支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続ける」との見方を示していたが、今回のリポートではその表現が削除された。白川総裁はこの理由について、1)生産は横ばい圏内の動き、2)所得はエネルギー・原材料価格高が企業収益などの所得形成を弱めている、3)支出は比較的底堅く推移しているが、設備投資の増勢は鈍化している──ことを指摘した上で「3つの面を点検すると、いずれも足もと弱まっており、その結果、記述が落ちた」と説明した。

 <物価高とインフレ期待を注視>

 今回の展望リポートでは「消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、平均してみれば1%程度で推移する可能性が高い」との見通しを示したが、食料品など身の回り品の相次ぐ値上げで消費者の物価に対する実感とかい離しつつある。こうした状況について、白川総裁は「物価の動きと、その結果生じる人々の物価に対する見方がどういうふうに変化していくのかということを非常に注意深く見ている」と強調。「消費者のインフレ予想を通じて先行きの物価を上振れさせる可能性もある。あるいは企業が価格を設定する際に従来はなかなか転嫁できなかったが、少し変わってくる可能性がある」として、今後も注視していく姿勢を鮮明にした。

 さらに物価高と景気減速とが並存した際の金融政策については「(物価と景気の)両者が食い違っているときは、あらかじめ答えをもって臨むべきではない」と指摘。一方で、物価の上昇が期待インフレ率の上昇につながるのであれば「金融政策で対応するのがオーソドックスな考え方だ」と説明した。
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